現在中堅社員以上の方や、職場リーダーの方は、新入社員の言動に首を傾げてしまう事を経験した事が少なからずあると思います。今回はそんな新入社員(若手社員)について記載していきます。
新入社員・若手社員の悩み
下記に、ネット上に掲載されている仕事上の相談の内、若手もしくは新入社員と思われるものを抜粋してみました。
参考
◆会社で上司から理不尽なこと言われたら、、無視していいですか?
◆嫌なことがあったので仕事を明日休もうと思います。
◆上司や同僚から「給料泥棒」と言われたら、「給料は会社が勝手に払ってるだけだ」と言おうと思います。
◆毎日つまらないです。勉強してたけど意味ないかもしれません。
◆単語の意味も分からないような中で商談に行かされ、もちろん先方にも舐められてしんどいです。
これをご覧いただいて皆さんはどう思われたでしょうか?素直に受け入れると言う方より、「子供みたいだなぁ」等の感情が出た方の方がきっと多いと思います。特に中高年の方々は「上司を無視する?」とか「会社が給料を勝手に払ってる?」とか、考えられない意見だと思われたに違いないと思います。
私自身もサラリーマン時代に、人事担当の管理職をやっていました。その時に各所で発生した新入社員関連のトラブルとして以下のような事がありました。
◇前日の晩に同期社員で集まったために深酒し、会議に多くの新入社員が遅刻した。
◇自分の能力を発揮させてもらえないと、上司を上部機関に訴えた。
◇配属が希望部署ではないため、労働組合に訴えた。
◇全国配置が前提の企業において、首都圏以外の異動を拒否した。
◇周囲との人間関係構築がうまくいかずに、会社を多く休む事となった。
ネット上に記載されていた悩みが「考え方や発言内容」であるのに対して、この内容は新入社員がとった「行動」が中心となります。
両方を見て判る事は、あくまで自分の価値観が会社員としての倫理より優先しており、その価値観にはプライドが混在していて、価値観やプライドを破る存在があると敵対的な感情が発生します。
さらには、その感情を抑える事はせずに、何らかの形で社会に対して訴えていく行動を取るか、自分自身が精神的に追い込まれれてしまうかに2分されています。
このような状況は、昭和や平成初期に若手時代を経験した諸氏には「我慢が出来ないんだよね・・・」と言う言葉で片付けられてしまうのかもしれません。しかし、過去の買い手市場時代と違って、今は空前のと言って良い位の「売り手市場」です。(コロナ前まで)
企業は新卒で入社してきた新入社員を大切にするため、導入プログラムは以前よりゆっくりと実施され、現場の育成方針も優しく対応する事が当然のようになっている会社もあります。これにより、以前は5月病と呼んでいた新入社員の病が、今は6月であったり7月であったりと後倒しになっているようです。
一方で、新入社員自身の感情部分では、以下のように置かれている環境に影響されています。
①元々「売り手市場」の中で入社してきている事により、「入社してあげた・・」的な感情がベースにある事。
②大学卒業者は、自分の知的レベルが高い事に必要以上にプライドを持っている事。
③小学生以降の学生生活の中で、「本気で怒られる」や「理不尽な言動」に接しておらず、耐える手段を知らない。
④終身雇用が崩れ始めているばかりでなく、「第二新卒」や「中途採用」等の雇用制度が拡大しているため、我慢して職を維持する必要性は無いと思っている。
⑤SNSなどの感情はけ口や、友人との連絡の容易性が、安易に「現状からの離脱」行動に拍車をかけている。
悩みを乗り越えられる新入社員と出来ない新入社員
さて、新入社員の多くは入社数か月から1年位までの間に「辞めようか・・」と思うような悩みを抱えます。しかし、その悩みを乗り越えられる新入社員にも特徴があります。
①上司や先輩に対して、自分の感情を素直にぶつけられる新入社員
②自分と同期社員の比較や、先輩社員との成果比較で必要以上に自分を追い込まない新入社員
③業務以外の趣味等で、はけ口を持っている新入社員
これを見て思われる方もあると思いますが、新入社員だけの特徴ではなく、社会人全般に言える事です。ただし、社会人は経験年数を重ねる事で、自然と身についてくるスキルですが、新入社員(若手)は、この解決手段が身についていない場合が多いのです。
どう対応するのか?
簡単に言えば上記に記載した3つの解決手法を上司や先輩などの周囲から積極的に関わってあげる事です。その際に、必ず必要な考え方は、
ポイント
新入社員や若手社員は、たとえ現時点で満足できる行動や成果が出来ていなくても、育てる事で必ずチームや会社の財産となる事を確信している信念を持つ事です。
再度対応方法を確認しましょう。
【必要な行動①】上司や先輩に対して、自分の感情を素直にぶつけられる事
➡これは若手社員(特に新入社員)には難しい行動です。したがって、周囲のメンバーやリーダーの方から日常的にコミュニケーションを取りに行って、困りごとや仕事のニーズ等を傾聴してあげる事です。そして支援と観察を繰り返す事ができれば、成長していきます。
注意ポイント
この時よくある失敗例は、過去に何度か支援したり助言したにもかかわらず、同じ失敗等を繰り返した時に、厳しく接してしまう事です。数度の同じ失敗は必ず起こして当然であると事前に思う事で、粘り強く支援や助言が出来るものです。
ある統計学者によると、人間は新しい経験を指示されて、完全に自分の物に出来るまでに500回伝達される必要があるとの統計もあり、有名なNo.1CVS企業会長は、毎週同じ訓示を同じ社員に1年間言い続けるとのことです。
【必要な行動②】同期社員との比較や、先輩社員との成果比較で必要以上に自分を追い込まない事
➡高校~大学を学歴を持つ若手社員は、常に同年代の人と競争の中で育ってきている事から、社会人になってからも同様に同期社員に対して競争意識が強い傾向にあります。将来リーダー業務や幹部社員に誰より早く到達したいという気持ちを持つ事は大切ですが、若い時はどれだけ失敗できているかが人間形成の財産となっていきます。
また、私が人事業務をやってきた経験から、例えば管理職登用をする際に、”若い時にどれだけ仕事が出来たか”等は全く考慮する事はありませんでした。実際には登用を検討する数年間の行動と業績で決定されるもので、逆に言えば「そろそろ頑張る年になって来た・・」でも十分間に合うのです。
また、先輩社員との成果比較に関しては、新入社員や若手社員は先輩や管理職からのOJT、また研修等で様々な教育を受けると思いますが、伝えされるのはあくまで机上論であり、過去の経験であり、顕在化された理屈なのです。
実際の業務では時代の変化に応じて過去経験を応用したり、ノウハウ化されてはいないが、潜在意識の中で自然に行っている行動などの方が多くを占めているはずです。このような事実をしっかり日常から教えてあげる事が重要なのです。
【必要な行動③】業務以外の趣味等で、はけ口を持っている
「若手は上司や先輩の趣味嗜好に合わせるのが当然である・・」と、今でも思っているリーダーがいれば、貴方はすでにパワーハラスメントの犯罪者資格を十分持っています。
私が会社人生の中で部下に持った管理職の内、最も部下からの求心力が高いと思うリーダーは、部下全員と毎日1回は無駄話をして、部下達全員の趣味嗜好を聞き取り、研究して会話をしていました。
その人になぜそこまで出来るのか?と聞いたところ・・
とあっけらかんと言っていました。ちなみにこのチームの成績は常にトップでした。
以上のように、新入社員や若手社員への対応として必要な事は、周囲のメンバーや職場リーダーの対応の前提となる心構えなのです、
ポイント
新入社員が将来の組織や会社の財産であるとすれば、その育成は大変重要な業務である事をしっかり自覚し、一方で、昭和時代のように封建的な縦型組織は甚だ時代遅れであるとの認識です。
そして、特にリーダーは人財育成をしっかりチーム内組織全員に自らの言葉で宣言し、チーム全員で新入社員の立場を理解しながら対応すれば将来優秀な社員がきっと育成できるはずです。