あいさつ・話し方編
皆さんの職場に配属された新入社員から「先輩、こんな時はどうすれば良いですか?」と聞かれて困ってしまったり、適当に答えはしたものの次の問い掛けが無く、知らない間に”頼りにならないダメ先輩””の烙印を押されてしまった方は居ないでしょうか?
私が新入社員研修にて実施してきた、基礎中の基礎のビジネスマナーの内、先輩なら知っているべき事をピックアップしてお知らせします。
<ケース1>「わかりました」は返事としてOKか?
「上司から仕事を頼まれた際に、返事として”わかりました”は言っても良いですか?」と新入社員に聞かれたら先輩である貴方は何と答えますか?
この質問に「良いんじゃない・・」と答えた貴方は、新人を教える社会人の先輩としては失格です。
立派な社会人である貴方には、できればこう答えてもらいたいですね。
「上司への返事としては、できれば避けるべきだね」
では、どのように返事をするのが適切なのでしょうか?
それでは、正しい敬語の使い方と一緒に考えてみましょう。
①そもそも「わかりました」の意味は?
「わかりました」は、「わかる」という動詞に丁寧語の「ます」を付け、過去形にした丁寧語です。
敬語表現の1つなのですが、敬意を表す敬語表現としては低位に近い敬語であるため、敬語に関して知見の有る上司にとっては、自分を低く見ている返事であると思われる可能性があるために、「上司には、避けるべき」という結論になります。
②その他の「わかりました」の敬語表現
「了解しました」
これは「了解」に丁寧語の「しました」を付けてはいますが、謙譲語(※1)ではありません。
ポイント
「了解しました」は、カジュアルな印象になるため、取引先や目上の人に使う事は避けるべきです。
「かしこまりました」
「かしこまりました」は、動詞の「かしこまる」に丁寧語の「ます」を付け、過去形にした言葉です。「かしこまる」自体には「つつしんで目上の人の言葉を承る」という意味を持つため相手への高い敬意を示す表現です。
ポイント
「かしこまりました」は、お客様やお取引様に使う言葉に適しています。
「承知いたしました」
「承知いたしました」は、「承知する」の謙譲語で相手の話を聞き入れ、引き受けるという意味を持ちます。
ポイント
「承知いたしました」は、上司への返事に使うにはこの言葉が良いでしょう。
なお、「いたしました」がかしこまり過ぎていると感じるなら「承知しました」もOKです。
「承りました」
上記以外に、「承りました」という表現がありますが、「承りました」は「承る」という動詞に丁寧語の「ます」を付け、過去形にした言葉で、理解したというより、引き受けるに重みをもつ表現となります。
ポイント
「承りました」は、外部の人から頼まれた事に対しての返事として適当です。
<ケース2>社会人としての身だしなみ
皆さんは、新入社員に「”社会人としての身だしなみ”って何ですか?」と聞かれたら何と答えますか?
「別にそんな事考えた事無いけど・・・」なんて答えてしまった貴方は社会人の先輩として失格です。
先輩としてしっかり答えられるように勉強しちゃいましょう。
①”身だしなみ”によって変わる第一印象
経験や歴史が無い新入社員にとって、相手が感じる第一印象は、信頼を得るために重要な第一歩です。最初の印象の良し悪しで、その後のやり取りが円滑に行えるかどうかが決まります。また、万一不快な印象を与えてしまうと、全てに悪いサイクルになってしまう危険があります。
ポイント
第一印象は、「自分」ではなく「相手」が心地よいと感じるかどうかです。
注意ポイント
「相手」とは職場の上司や取引先、お客様などを指します。したがって、先輩の感性での判断ではない事に注意して下さい。また、相手によって変わる事も考えておきましょう。
結果的に最も日常関係が構築しにくい「お客様」目線で心地よいと思われる身だしなみをする事が最も安全策です。
②”身だしなみ”三原則
社会人として、新入社員として”ふさわしい身だしなみ”の三原則は以下の通りです。
◇清潔感がある事
【男】後ろの髪が襟に着かない、ひげを剃る、爪は短い、白いワイシャツ、服装に汚れが無い、ズボンにはプレスが掛かっている、磨かれた靴等
【女】長い髪はまとめる、パンツにプレスが掛かっている、襟や袖口に汚れが無い、過度な化粧はしない等
◇控え目である事
【男】整髪料は無香料、スーツの色は黒か紺か濃いグレー、ストライプが目立ち過ぎない等
【女】香水や整髪料の匂いは控えめ、イヤリングやピアスやネイルアートは不可、スカートは膝丈等
◇常識的である事
【男】寝ぐせに気を付ける、鼻毛に注意、スーツの外ポケットに物を入れない、勤務中はネクタイを緩めない、短い靴下は不可等
【女】ストッキングは基本ベージュ、かかとの高さは3~5cm、ハンカチは必ず持っている、インナーは白かベージュ等の淡い色等
ポイント
堅苦しいと感じる内容もあったと思いますが、人間関係が構築されていない新入社員は、どんな相手にも評価される「身だしなみ」に配慮する必要があります。新入社員自身の為にも、仕事以外で障害を作る事の無いように助言し、本人が様々な経験を積み、先輩達の身だしなみも参考にしながら適切に緩めていく流れをお勧めします。
<ケース3>お辞儀の仕方
職場の新入社員から、「昨日、部長と取引先のお客様にお会いしたのですが、部長から”お辞儀の仕方が悪い”と言われて、”近くの先輩に教えてもらうように”と言われたので、教えてください」・・と言われました。
貴方ならどう教えますか?
①お辞儀のポイント
お辞儀のポイントは様々ありますが、研修実技の中で新入社員が出来ないお辞儀のポイントは次の2点です。
◇上体を腰から倒して、首を曲げない
特に、首を先に曲げてしまう新入社員は数多くいます。首を先に曲げてしまうと、体が傾かないため、馬鹿にされているような挨拶の仕方になります。
◇頭を下げたら、相手より先に上げない
これもほとんどの新入社員は、最初に出来ません。当然ですが、相手より先に頭が上がってることは、目下の立場ではありえない事なのですが、その意識が無く、何が悪いのかわからないようです。
ポイント
お辞儀での頭を上げるタイミングは、相手より先に上げないようにタイミングを計る事です。
②お辞儀の角度
お辞儀には基本的に3種類があり、それぞれでお辞儀の角度が違います。
◇会釈⇒15度(すれ違いや、目が合った際にするお辞儀)
◇敬礼⇒30度(見送りやお出迎え、日常にお辞儀をする際)
◇最敬礼⇒45度(お詫びや、深い感謝を伝えたい時のお辞儀)
以上ですが、基本のビジネスマナーなので、先輩社員の方々は当然知っている事だと思いますが、いかがでしたか?
新入社員に聞かれた際には、ビシッと答えてあげましょう。