求めるレベルによって必要なスキルは違う
前章で記載した、「これから求められる営業スタイル」の中で、”プロダクト営業”、”ソリューション営業”、”クリエイティブ営業”という3つの営業スタイルと、その関係性についてをお伝えしました。その時の図が以下の通りです。
この3つの営業スタイルの中で、これから最も求められるのが”クリエイティブ営業”となる訳ですが、図を見て頂いてお分かりだと思いますが、”クリエイティブ営業”を目指すためには、”プロダクト営業”と”ソリューション営業”に必要なスキルを持っている事が前提となります。
さて、営業として必要なスキルを大きな分類と構成するスキルで記載すると以下になります。
このように4つの分類で9つの構成スキルに分けることが出来ます。
また、分類とスキルの中で、赤色の背景でぼかしが入っている所は、「クリエイティブ営業」に必要な部分となります。
上記にも記載した通り「クリエイティブ営業」に必要なスキルを発揮するためには、その他のスキルを持って居る事が前提です。
例えば”深堀思考力”で、本人が顕在化していると認識していない深層心理の中にあるニーズを掘り起こそうとするためには、セールスマンとしてのマナーや知識は当然必要ですし、自分の中で仮説をイメージ出来なければ糸口が、見つかりません。その他に相手への説明力も必要なスキルと言えるでしょう。
このように、9つのスキルにはお互いの関連性があるため、自分や組織のメンバー、部下のメンバー毎に現在保持しているスキルチェックを行ってどの部分から学んでいくかの計画をしっかり作る事が大切です。
さて、これから4つの大きな分類毎に詳細説明に入っていきますが、本章では最初の”ベース”となる力についてを記載します。
営業に必要なベースとなるスキル
ベースとなる力は、「基礎知識」と「情熱・心構え」に分類されます。
①基礎知識
基礎知識を構成する要素としては、ビジネスマナー、商品知識、対話相手の特性、ルール等が含まれますが、この各項目に共通で大変重要な事は
ポイント
出来て当然、知ってて当然、100点満点以下はありえない項目と考えよ!
例えば「ビジネスマナー」において、自分の身だしなみの尺度を”自分”や”同じ感性の仲間”に基準を置いて判断してしまうとか、名刺の渡し方や挨拶が出来ないとか、商談時の接見や面談の際には、相手の競合商品を身に着けたり飲食したりはしないとか・・これら全ては、自動車運転免許の試験で言えば、”一発検定終了”項目にあたります。 😥
「商品知識」においては、自社商品のプロダクトをしっかり記憶しておく事は当然として、値入の幅やリベートの歴史(過去に行った内容)を把握しておく事、また競合商品に対しての優位・劣位性もプロダクトと取引条件に関して調べておく事が必要です。
「対話相手の特性」では、相手企業の経営方針、売り上げ変化、商談相手の個人情報(年齢、配偶者・子供の有無、趣味、誕生日等)に至るまで可能な限り把握しておく必要があります。
「ルール」に関しては、営業を行う業界に関しての関係法令、取引条件では景品表示方や独占禁止法等、自社及び相手企業の社内法規に至るまでも可能な限りの把握が必要になります。
ここまで記載すると、「そこまで本当に必要なのか?」「契約の好感触や仮合意以降でも大半は間に合うのでは?」と思う方もいると思いますが、上記に記載した内容は、万一間違った展開になった際に、ゼロからの再スタートになればまだ良い方で、大きなマイナスからスタートさせられるリスクがある事をしっかり考えておく必要があります。
基礎知識だけのポイントではありませんが、
ポイント
営業の成否は、事前準備の出来次第でほぼ決定してしまうと考えて下さい。
段取り八割と言う言葉がありますが、間違ってはいないと思います。
②情熱・心構え
表中に記載した、「目標達成意欲」と「自身のキャリア達成意欲」に関しては、共通面ではPassion(情熱)をイメージしています。
営業をする人間は、冷静に判断していく事も大事ですが、もっと大事なのはこのPassionであり、これは今も昔も変わりありません。
一方、「目標達成意欲」と「自身のキャリア達成意欲」の違う部分で言えば、前者はSuccess(成功)が前提であるのに対して、後者はChallenging(挑戦)的な要素が含まれます。
つまり、自分のキャリステップの中の一部分として営業そのものを位置付けている場合や、高レベルの営業スキル取得へ向けての試金石として捉えている事もあるからです。(On the journey)
ただしどちらの場合にしても、失敗を前提に営業する事は考えずらい事から、取り組む姿勢としてはPassionは必要です。
「お客様の利益を優先する考え」については、商談が上手ではない人に良く見かける欠点です。
営業は自社の商品やサービスを使ってお客様や商談相手から利益を頂くことが使命ですが、消費者であれば”購買”や”利用”、商談であれば”採用”や”取り扱い”などに達して頂くためには、自社利益よりも相手側(お客様)利益で与える情報を成立させなければなりません。
最近はWin-Winと言う言葉をよく見ますが、本来こちら側のWinを見せる必要はありません。したがってWin-Winと言う言葉は、相手(お客様)Winだけで組み立てられない提案の場合や、自分を除いた第三者同志(小売りと消費者など)を表現する場合に限るべきだと思います。
さらに一歩進んで「お客様の利益を優先する考え」をするのであれば、目に前にいる相手(消費者や商談相手等)にとって、どんなメリットがあるのかを伝える事が出来ればレベルの高い営業スキルになります。例としては、「このツールを使用する事で貴方自身の残業が減る事につながります」とか「このサービスを使用すると、奥様からの株が上がります」、または「この商品を導入する決定をしていただければ、御社の中で部長の立場が大変良く成る事にはずです」などです。
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