1. 外部環境の変化から見る
外部環境の変化は、過去に経験した事のない様々な出来事と、非常に速いスピードで変化しますが、「将来見立て」と「変化スピードへの対応」「消費者の情報把握とニーズ」の3点に絞って、組織影響を見てみます。
アナログによる情報取得時代のように、消費者側が自分の持っているニーズに対して情報を取りに行くのとは違い、デジタル時代は、きっかけこそ、自分のニーズから情報の取得に向かったとしても、デジタル環境にある大量の情報量によって、自分の中にあった潜在的ニーズを掘り起こされることが多く発生します。
これによって、掘り起こされたニーズを標的にしていたニッチな商品が爆発的売れ行きを示すような事も起きてくるのです。
このような事態に大きな影響を受けるのが、大手の企業であるはずです。
今までのマスマーケティング手法を中心に、コストをふんだんに使用した情報発信をすることで、情報比率を上げて消費者の購買意欲をコントロールが出来ていた事が、比較にならないほど大量で日常的に、かつ容易に情報が氾濫しているデジタル情報化によって、企業単位レベルではコントロールが通用しなくなって来ています。
また、ニーズの変化のスピードの速さは、組織が大きければ大きいほど対応が困難になります。
注意ポイント
変化する情報入力先は、消費に現れる事になりますが、ニーズの把握を内政化して調査・分析している企業ほど、消費結果からの情報伝達のスピードが遅延や湾曲化が発生し、商品や販促施策への反映を遅くするため、更に対応を困難にしています。
2. 内部環境の変化から見る
上記の外部環境の変化は、企業内の様々な部分に、変革の必要性を生んでいきます。
以下は「人事制度・評価制度」「組織設計」「マーケティング戦略」「行動計画サイクル」の4点に絞って記載します。
外部環境の変化は、その多様性とスピードの速さが特徴であるがゆえに、企業内部の対応では、「組織と制度の弾力性」がポイントになります。
上記の表で言えば、VUCAの時代に必要な組織横断型プロジェクト体制を組むことに関して、
一般的な企業では、組織の設計と人事制度は連携しているため、職掌やグレードによる権限や業務範囲という決めや年功序列式の給与体系が、弾力性の大きな壁になります。
マーケティング部門においても、ブランドという名称が足かせになって、潜在ニーズの掘り起こしができなかったり、リスクに対する受容性が低い、安全な施策判断に傾きがちになったりします。
最も危険な事は、企業内で自組織や立場を守るために、外部環境の変化を認識していながら、対応を怠るという確信犯が生まれる状態です。
3. 人財管理の側面から見る
外部環境と内部環境の変化による必要性を、経営サイドや上位組織サイドから見てきましたが、第一線に近い下部組織側でも変革の必要性は生まれてきます。
今回は、「マネジメント行動」「KPIの設定・管理」「全社員への経営ビジョン浸透度」「人財育成」の4点について見てみます。
変化に対応するための弾力的な組織運営を行う事は、組織単位の行動からプロジェクト単位の行動への変容が求められます。
注意ポイント
その結果、今までのように組織単位の画一的なKPIの設定は、必要に応じて都度都度変化するプロジェクト体制では、業務内容と成果判定(評価)に様々な矛盾が発生することになります。
また、リーダー達が経験してきた成功体験や、過去の上司から得た知見は、無意味とは言わないまでも、実態との不整合によって、業務の非効率さを生み、部下たちのマインド低下へ結びつけるリスクがあります。
さらに、上司が部下に業務を指示・管理し、部下が指示に従って履行していた時代は、社員一人一人が企業や組織のビジョンを認識していなくとも大きなリスクは回避できますが、
ポイント
弾力的なプロジェクト運営は、全ての社員が経営の向かうべき方向(ビジョン・ミッション)を十分理解していないと、会社としてリスクを負う事になります。
これら全ての課題解決のために、組織のエンパワーメント化という手法があります。
取り組みを開始するだけでは、解決は望めませんが、少なくとも、今、上記に記載した状況が、読者の方の企業や組織にあると思われるのであれば、解決の方向に進み始める事だけは間違い無いはずです。