業績アップさせるためのマネジメント(No.4)
最も効率的に成果を上げる業務設計
業績を上げるためのポイントとなる考え方は、前回の「業績アップさせるためのマネジメント」の(No.1~No.3)で記載してきました。
今回お伝えするのは実際の手法例です。
私自身が取り組んだマネジメント手法の中では、定着させるための苦労はありますが、定着してしまえば最も効果的かつ短時間で成果を上げる事が出来る手法を、ご紹介をします。
これから記載するのは、タイル図式の業務設計です。
営業現場でよく見る「気合と根性」的な業務方針は、短期間での業績アップには有効に機能する可能性はありますが、中長期的には、メンバーが疲弊したり離職率を高めるリスクがあります。
ポイント
安定的に継続した業績を向上させるためには、いかに事前の業務設計を出来るようになるかで、成果が決まってしまいます。
業務の設計図をうまく書けるか否かで、業績結果の大半が決定してしまうとすれば、難しくても、時間がかかっても、チャレンジするだけの価値はあります。
定着までの壁は高いことは否めませんが、継続的に業績を出すためにリーダーがマネジメントする必要要素としてぜひチャレンジして下さい。
タイル図式業務設計の事例~表の作成~
業務設計を事前にする目的は、
① 仕事をしなくても良いTaskや場所・お客様などの対象を決める事
② 仕事をする対象の優先順位をつけて、その順番に実行していく事
この2点です。
これをする設計に必要な要素は、
① 実行したいTaskを列挙
② Task単位の成果見立てロジックを作る(売上〇%アップ、購入率〇%向上、利益額等)
③ 実行する対象の情報を整理する(客数、席数、店舗売上、自社売上、利益率等)
この要素を整理して下記のような表を作成してください。
この表は、4つのTask(A~D)を同一期間に実行する事として、2つのエリア(Area1と2)で、各々エリアで5か所づつ(対象01~05)活動していく計画書です。
黄色の部分に現れている数値は、対象ごとの売上規模とTaskごとの成果見立てロジックから簡単に導いた売り上げアップ予想金額(単位:万円)となっています。
この表内にある40か所すべての活動を実施したときの成果は303万円です。
仮にこの期に上げる成果目標を200万円以上と決めたときに、どのようにマネジメントしますか?・・を検討していきましょう。
タイル図式業務設計の事例(ケース1)
業績アップのためのタイル図式業務設計の目的は、やらない仕事を決める事と、その順番を決める事ですから何らかの基準をもとにやるべき所を決めていきます。
最初のケースとしては、「Task毎の成果見立ての総計が大きいものから選択」としてみます。
この表の中で、Task獲得売上の大きい順にTask-BとTask-D、そしてTask-Aを選択して実行する事とします。
このように、Taskの成果の大きい順に仕事を選別してしまう事が、実際には一番多いパターンであると思います。
一見、目標もクリアできる(256万円)見立てなので、良い選択の様に思えますが、仕事をする数が30(黄色いセルの数)もあり、またその中には2万円や3万円の成果見立て場所が含まれている一方、Task-Cの中にある、14万円の成果見立て場所が未実施の計画となるような不合理が発生します。
タイル図式業務設計の事例(ケース2)
次には、Taskの上位ではなく、「対象毎の成果見立て総和を大きい物から選択」してみる事とします。
この表では、Area1の対象01、02、04とArea2の対象06、07、10の6か所の場所を選択しました。
この計画での成果見立て合計は216万円で目標をクリア出来ており、仕事をする数も24とTask毎の成果の総和だけで選択した結果より少ない数で目標がクリアできます。
しかし、この手法の場合も2万・3万円の成果見立ての場所が含まれる一方、10万円以上の成果見立てのある場所が複数漏れており、不合理な計画となっている事が判ります。
タイル図式業務設計の事例(ケース3)
最後に、Taskと対象を組み合わせた「すべてのセルの中から、単純に成果の大きい物から選択」していきます。
この表の赤色のセルが、全てのセルの中から大きい成果見立てになっている仕事を選択した結果です。
成果見立ての合計は218万円で18の仕事数でクリア出来ています。
このように、広く考慮した成果見立て表の中から、
ポイント
①最も効率の良い仕事の対象を選択していく事で、選択しないセルの業務は実施しないと宣言をする。
→部下に無駄な業務を実施させない勇気をリーダーが持ち、リーダーが宣言する事
②決定した仕事の対象を実行する順番は、成果見立ての大きい対象のセルから必ず実行していく事。
→期中成果を最大にするためには、実行する順番が大切で、リーダーは部下の実行順番をマネジメントする事。
以上をタイル図式業務設計と呼びます。
今回の事例は、200万円の今期目標への効率的な仕事の選択として使用しましたが、タイル図式の業務設計の考え方は、どのような目標設定に対しても効率的な業務計画が作成できます。
取り組みを開始する当初は、成果見立ての作り方や、仕事の選択手順に時間がかかったり、成果見立てと実際の成果の格差が顕著に発生したりしますが、継続していくほどに短時間で、高精度の業務設計が出来るようになりますので、ぜひ諦めずにチャレンジして下さい。