~第1章:エンパワーメント化やってみた~
エンパワーメントに取り組んだ背景
私がリーダーとして担当していた組織は、6つの県にスタッフ部門で3つの部、各エリアに設置されている支店が11か所あり、正社員で約200名、パート社員で約100名、管理職で約20名、合計300名強の組織でした。
会社の歴史は長く、山あり谷ありではあったものの、倒産の危機になった事も、給与不払いになった事も無いことで、全社員は普通に働いて行けば退職まで安定した給与が支払われるものと信じていました。
ところが、競合の大ヒット商品が市場に突然現れ、敗者の道を歩まされる事になったばかりか、仕事の仕方さえ競合に見習うように指示され始めたのです。
当然部下たちは、今までやってこなかった仕事の連続や、普通に仕事をしていれば売れていた自社商品が目に見えて売れなくなってくる姿を目の当たりにし、自分が何をやればいいのかと、右往左往する状況に遭遇していました。
私も各職場のリーダーも今のままではダメであることは解っていますが、上位組織は長年の垢がべっとり着いている状況から、的確な指示を出せない状況であり、更には責任を第一線に転嫁するなど、目を覆いたくなる状況であったため、自分の組織を独自に育成し、改革する決意に至ったのです。
そこで、今回のテーマであるエンパワーメントを取り組むことにした次第です。
エンパワーメントは、
一般的に強力なトップリーダーであれば、自分の力だけで組織を牽引することは可能です。ましてや会社であれば、「指示・命令」という伝家の宝刀があり、また「人事権・評価権」という暗黙のプレッシャーがある事で、組織は動いていきます。
しかし、どんな強力なリーダーも必ず時代の波についていけない時が来るというのは歴史が証明しているのです。
ポイント
だからこそ、全社員一人一人が自分の仕事に責任を持って行動し、また社員個々の特性を活かしてチームマネジメントしていく事で、個々の業務マインドを向上させる事ができる、このエンパワーメントに取り組む選択をしました。
自分の組織を正直に見つめる事から開始した
エンパワーメント化を導入するにあたって最初に行動としてした事は、教本とした「社員の力で最高のチームをつくる<新版>1分間エンパワーメント」という本を、全管理職が読んで、自組織に当てはめた時の感想文を提出してもらう所から始まりました。
相手が管理職ですから、そこそこ良い年齢になっていて、「いまさら読書感想文か?」というネガティブな発言はありましたが、そこは業務命令という武器を使ってしまった訳です。
この本は、ビジネス本でありながら物語調になっており、昔流行った「もしドラ」のマンガが無い本というイメージのため、読むこと自体には苦労しなかったようです。
さて、上がってきた感想文を全部読みましたが、新しい事を受け入れやすい人、受け入れにくい人、またリーダー経験の長短や自尊心の強弱などによって、びっくりするほどバラバラの内容でした。
ただ、日頃は仕事関連のコミュニケーションか飲みニュケーション中心であったことから、ビジネス志向に関して個々の管理職の考えを聞けた事は、新たな発見になり、後々役に立ってきます。
さて、ここから長い長いエンパワーメントロードがスタートを切ります。
エンパワーメントへの取り組みには3つの鍵があります。
ポイント
①全社員が同じレベルの情報を持ち合う事
②進むべき方向性や、やってはいけない範囲を共有しあう
③階層の概念を払拭し、チームとして機能しあう体制をつくる。
この3つの内、①の情報共有部分からスタートしていきます。
次回は、そこでのポイントを記載していきます。
全社員への情報共有はどこまでやるか?