~職場のエンパワーメントやってみた第6章~
形式的な組織改革は、失敗が判明しにくい
環境変化に即応した業務体制にしようと、極力決裁権限ルートの縮小をはかったダウンサイジング型の組織改革を行う事があります。
組織改革を計画・実施した側は、この体制変更によって、「権限が委譲される事で判断スピードを改善させる。」事を期待してしまいますが、実際には見直し前と大きく変化していないという事が良く起きます。
これは、なぜか?
これには大きく3点の原因が存在すると思われます。
1つ目は、組織変革が実施されても、上司や上位組織のメンバーの意識が変わっていないため、結局権限は上司や上位組織が実質的に保有している事が多い。
2つ目は、形式上の権限移譲がなされた事で、責任ばかりが付加される事になり、そのための業務が増大する事になる。
3つ目は責任が付与されたことで、失敗に対しての危機意識が増大し、消極的な対応になってしまう。
このような事が起きる事は珍しい事ではありません。
さらに、この失敗は、意識変革が出来ない上司や上位組織と、権限を委譲された部下や下部組織との溝を大きく広げる事になります。
この状況が企業経営に与える状況は以下の通りです。
注意ポイント
最も大切な「真実の情報」が経営層に伝達されないという現象が発生し、社長や経営層にとっては、環境変化に対応した組織改革を行ったつもりが、想定通りに進行していない事に気づかず、気づいた時には企業や組織そのものの危機に瀕しているという状況を生むことになります。
いわゆる「形作って血を入れず」のパターンです。
もし「過ち改めざる是を過ちと謂う」・・こんな方が居ればその方の適正配置からが組織改革のスタートです。
階層組織からの脱却には全社員が判断すべし
速い環境変化スピードに即応した体制を作るためには、リーダー等の管理職層以下の個々の社員一人一人が判断できるように成長しなければなりません。
ただし判断権限の委譲は、同時に責任も委譲される事になりますので、その責任をリーダー以下の一般社員層に付与する事は、消極的な行動を生むことになってしまいます。
そのような行動を回避するために、社員一人一人に対して必要な事は、
ここまでのリーダー行動を整理すると
ポイント
① リーダーはチームが必要な情報を伝達する
② リーダーはチームに依頼するタスク毎の進むべき方向性を伝える。
(この際同時に、任せる事、失敗を非難しない事、最終責任は自分が取る事を伝達)
③ リーダーは、いったんチームに任せたら基本的には口を出さない。
④ リーダーは、チームが困っていたり、方向性を間違えそうになったら支援をする。
⑤ 成長過程では多くの失敗は必ず起きると認識し、受容する事。
こうする事で、社員一人一人が自由に、失敗を恐れずに、スピーディーに業務を遂行できるように徐々に成長していける道筋が出来ることになります。
個人の集合体ではなくチームシナジー
前節で、環境変化に対応した組織作りの際に、与えられた権限と同時に付与される責任を、チームとして持つことで消極的な行動を回避すると記載しました。
エンパワーメント化組織を作っていくために、チームマネジメントの導入が必要な一番大きな目的は別にあります。
下記の表をご覧ください。
まず、「グループ」と「チーム」の違いに着目してください。この2つを定義すると
「グループ」は、同一の目的のために集まった集団
「チーム」は、メンバーの特性を尊重し、協議し、相乗効果を生むまとまり
となります。
グループでは各個人が出す成果の総和がグループ成果となるのに対して、
ポイント
チームではグループ総和の成果に個人が持つ特性をやメンバー同士の共有と連動の効果、さらにメンバーの自律的な想像力効果を付加させる事を目指します。つまり個々のもつ能力の結集を組織のシナジー効果に昇華させる事がチーム成果となる訳です。
リーダーは、前章までの前提である権限付与や責任への安心感、また個々のメンバーが持つ特性を活かすことによるモチベージョン向上をはかる事で、チームシナジーによる成果最大化を発揮していく・・・これがリーダーのチームマネジメント力となります。
さて次の章は、部下のチームメンバーたち自身が行う、チームマネジメント方法について記載していきます。