電話・接客編
新入社員にバカにされる前に知っておきたいビジネスマナー(Ⅰ)に引き続き、(Ⅱ)では電話と接客に焦点を当てて記載します。
どれも社会人としては知ってて当然の内容ですので、新入社員に聞かれた時に困る事の無いように確認してください。
<ケース3>新入社員に「電話が怖いので取れません」と言われたら。
新入社員が、会社に入った当初に最も悩むのが電話対応です。
理由としては、
①仕事や人が判らないので電話を取ってもどうすれば良いのか判らない。
②固定電話を使っていない世代なので、どうやって電話を取るのかが、そもそもわからない。
2つ目の理由は、中高年の方々には何を言っているの?と思われるかもしれませんが、現代の若者は電話と言えば「スマホ」であり固定電話を使うシーンが無いため、本当にわからない人が多いのです。
なぜ、電話対応をして欲しいのかをしっかり説明しよう。
特に新入社員に電話応対をしてもらいたい理由は以下の3点です。
ポイント
①社内各組織・担当業務・担当者を早く覚えることが出来る。
②社内各組織の上司・先輩の顔を早く一致させることが出来る。
③自社が関係しているお客様や取引先等のステークホルダーを覚えることが出来る。
新しい仕事に就いた時は、新入社員でなくても周りの人達や仕事内容がわかるまで、非常に不安な気持ちになる物です。ましてや全く縁もゆかりも無かった会社に飛び込んだばかりの新入社員が心理的安定を図るためには、出来るだけ早く職場環境を知ってもらう必要があります。
受話器を取る時・切る時の動作
受話器と取る時の動作
◇電話が鳴ったらできる限り2コール以内で取りましょう。
◇受話器は、自分の利き手では無い手で取りましょう。
受話器を切る時の動作
◇相手が電話を切ってから、電話を切りましょう。
◇電話を切る際は、受話器で切るのではなく、フックを指で押して切りましょう。
会話中の注意
◇電話の声は意識して明るく
◇はっきり・正しい発音で・早口にならない。
電話独特の表現はロールプレイで覚えよう。
電話対応では、直接対面する時とは違って以下の例のような電話独特の表現を使う事があります。
◇「少々電話が遠いのですが、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」
◇「お電話変わりました〇〇です」
◇「失礼ですが、何番にお掛けでしょうか」
◇「大変お待たせいたしました、株式会社〇〇〇の〇〇です」
このような表現は、いきなり本番の電話で新入社員に話してもらう事は、無理を押し付けている事と一緒です。
新入社員研修の中でも何度もロールプレイを実施して、少しづつ慣れていくようにしていますので、職場でもロールプレイを繰り返しましょう。
<ケース4>御社と貴社の使い方を聞かれたら
社会人独特のビジネス用語というのは多くあります。この「御社」と「貴社」の使い分け方もその一つと言えます。
この言葉の使い分けを教えると同時に、何種類かのビジネス用語も教えてあげましょう。
「御社」と「貴社」の使い分け
「御社」と「貴社」の使い分けは、もちろんご存じでしょうけど非常にシンプルです。
ポイント
「御社」が話し言葉、「貴社」が書き言葉です。
つまりお得意様などと会話の中で使う場合は、「御社」と言い、手紙やメールなどに使う場合は「貴社」と言います。
なお、会社の場合は「御社」と「貴社」ですが、銀行や郵便局の場合は、この言葉を使えません。
銀行の場合は、「御行」「貴行」、郵便局の場合は「御局」「貴局」と言いますが、「御」と「貴」の使い方は一緒です。
「弊社」と「当社」の使い分けは?
「御社」と「貴社」は相手方の会社に対して、会話の中で使う言葉と文章の中で使う言葉に分けていました。
注意ポイント
では、自分の会社のことを表す「弊社」と「当社」も同じ使い分けなのかというとそうではありません。両方の表現とも会話の中でも文章の中でも使用することが出来ます。
まず、「当社」は丁寧語ですので、自分の会社を丁寧に言った言葉ですが、「弊社」は謙譲語ですので、自分の会社をへりくだって言った表現です。この意味から、一般的に社外には「弊社」、社内では「当社」と使い分ける事が多いのですが、社外に対して「当社」の表現を使う事も多くあります。
「当社」を社外向けに使用する代表的な例が、ホームページでの表現で、「当社では、自信を持って〇〇を実施しています」のような使い方をしています。
つまり、社外に向けてであっても自分をへりくだる必要が無く、自信を持って訴求・アピールする場合などは、「当社」をつかう事が多いようです。
その他に「我が社」という表現もありますが、一般的には社内向けに役職の高い方(役員など)が使う事が多い表現ですので、使う時には注意が必要です。
<ケース5>上座・下座について教えて欲しいと聞かれたら
新入社員が今までに経験していないシーンの中に、会議室や車、エレベーターでの席次や立ち方などのいわゆる「上座・下座ルール」のような、社会人独特のルールがあります。
現在では、かなり弾力的になってきている事は事実ですが、お客様対応という観点では企業の社員教育度合が、会社の格として扱われる事もいまだに少なくないために、一度はしっかり覚えてもらいましょう。
エレベーターの乗り方
エレベーター内での上座・下座
エレベーター内での上座・下座は、入り口を入って操作パネルの前が下座となります。
逆に上座は操作パネルの後ろが基本です。
乗車人員の多いエレベーターなどでは、奥の中央(図では①と②の間)が上座となる場合がありますが、その場合でも入って右奥(①の人の左手側)が2番とその前が3番で変わりはありません。
乗り降りの仕方
①社員だけの場合
②お客様を案内する時(お客様が少人数の場合)
③お客様を案内する時(お客様が多人数の場合)
ソファーの座り方
ソファーでの上座・下座
ソファーの場合、3人掛け席を優位置とし、出入り口に近い場所を下座するのが基本です。
したがって、通常の応接室等のソファー配置は図のように配置してあると思われます。その場合の上座は3人掛け席の出入り口から一番遠い場所、下座は出入り口に一番近い一人掛けの席になります。
ただし、場所によってソファーの配置が違う事もしばしば見られます。(出入り口に近い場所に3人掛け席があるなど)
その場合は、相手に着席する場所を指定してもらうように聞いてから着席する事がお勧めです。
お茶の出し方・飲み方
①お茶を出すときは、「お客様から」「上座から」を基本に出します。
②自分がお客様側の場合に、お茶を飲むタイミングは、「勧められてから」「自分の上席が飲んでから」が基本です。
その他
自動車での席次
自動車での席次では、「運転手が誰なのか」によって席次が変わります。
図の場合はタクシーでの場合を示しています。
運転手が上司やお客様の場合は、助手席が上座となって下座は後部座席中央になります。