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私たちが社会に対して果たすべき役割

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本章は、「間違いだらけの社会貢献」(5/30掲載記事)、「10年目の東日本大震災を想う」(5/31掲載記事)に続けた3部作の締めとして掲載します。

2019年の台風19号災害の時の話

2019年10月12日~13日に日本を襲った台風19号は、中部・関東・東北地方に甚大な被害を出しました。当時私は宮城県仙台市にて勤務しており、私の管轄している東北6県においても、福島県・宮城県・岩手県において大きな被害に見舞われた状況でした。

社会貢献活動の中で、災害復興というのは被災者最優先という観点から、起きている状況によって支援の仕方を変化させる必要があります。この台風19号による被災者支援の場合は、被災者の救助~物資の調達、ライフラインの復興など、初動で必要な事は多くありますが、初動以降に必要な事は、被災者の各々の自宅復旧のためのボランティアという人的支援要請でした。

この状況に対して私が出来る事は、200名持っている部下に対して、ボランティアの志のある社員は、業務中の参加OKや必要な物資は会社にて用意など、参加しやすい環境を便宜的に急遽整える事でした。

この時に参加したのは、のべ200名以上の社員で、毎日朝になると汚れてもいい運動着と長靴、帽子姿の老若男女が会社を出発し、夕方になるとドロドロの格好をした社員たちが駐車場で体をや服を洗っている姿を見る事になりました。

この大変感動した姿には、背景があります。東北は2011年に起きた東日本大震災のエリアで、社員たちの中には、本人もしくは家族の被災者が少なからずいた事で自分のすべき役割を非常に理解していた事、また被災者以外の転入者や若者たちに対しては、東日本大震災の伝承活動を実施していた事、そして日頃からごみ拾いなどの社会貢献活動には積極的に参加していたという企業の風土がありました。

しかしながら被害の状況は想像以上に大きく私の職場の社員だけでは、全くボランティア数が不足している状況であったため、私が会員となっている経済団体の会員企業の多くに、社員のボランティア参加を要請しましたが、全企業で「会社としてボランティアをあっせんする事は不可能」「支援として、義援金または物資の提供を既に行っている」という物でした。

注意ポイント

ボランティアは個人が主体的にするものである事や、被災者支援には金銭・物資が必要なことなどは、当たり前の事であり、災害による緊急事態の時は、必要に応じて弾力的な対応をすべきという、本質的な目的と基本的な考え方が理解されていない現状があった。

この現実の壁に突き当たって、一人、一企業の力が如何に小さい物であるかを思い知らされた次第でした。

私たちが社会に対して果たすべき役割

過去の災害を学習すべき

阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、台風19号、そして今新型コロナウィルス対応と、私たちは常に自然との未曾有の戦いに直面させられてきました。また、これからも多くの未曾有の戦いを強いられることでしょう。

その時の為に、過去の災害をもっと学習すべきです。しかもその学習は、必要な行政や研究施設、警察・自衛隊、企業や団体は当然の事として、一人ひとりの個々の人間が学習をすべきなのです。

例えば、東日本大震災の伝承組織である「3.11メモリアルネットワーク」のHPには、南海トラフ地震では、津波による想定死者が16万人とされていますが(東日本大震災時は約18,000人)、東日本大震災の教訓を生かして迅速な対応が出来れば、7万人まで減少させることができると記載されています。

災害が発生した時は、一人ひとりの判断が重要です。特に津波被害のような迅速な判断が必要な時に行政や警察等の力を当てにしている時間はありません。私たち一人ひとりの行動によって、生死が分かれてくることは明白であるからこそ、学習が必要なのです。

地域コミュニティーを見直そう

地域コミュニティーというと、その代表バッターが各地区にある自治会組織というものになるかと思います。この自治会という組織を見直そうと言っているのではなく、近所同士がいざという時に助け合うことが出来る関係性を普段から構築しておく必要を言っているのです。

ポイント

大きな災害が起きた時には、救助や支援が被災者に対して行われるのは当然の事ですが、実際に発生した時には、必要なタイミングで満足いく人や物資が提供される事は、まず無いと覚悟すべきです。したがって、自分自身でその場を生き抜いていく必要があるのです。

その時に、唯一助け合うことが出来るコミュニティーは周辺の人という事になります。また、東日本大震災の被災状況の中に、「震災関連死3739人」という整理がありますが、この震災発生後の死亡者の中に、今までのコミュニティーが崩壊して、精神面から体調を崩した人や、もし親しいコミュニティーがあれば助けられた可能性がある人が多く含まれています。

「近所付き合いは面倒・・・!」という気持ちも分かりますが、最低限、会った時にあいさつや一言言葉を交わすくらいはするようにして、どんな人が居て、どんなタイプの人なのか程度の最低限の情報をもって、いざという時に助け合う一言が言えるようにしてはいかがでしょう。

金を払えば良いってもんじゃない会社の社会貢献

これはお題目通りですが、SDGsが会社の価値として見られ、ESG投資の対象か否かの判断要素となっている現状では、CSR活動や社会貢献イベントの実施、NPO助成など、金の払い方で社会貢献活動実施の適性を企業内判断をしている可能性すら感じます。

これは、最低限社会で会社を存続させていくための、参加費のようなものであって、決して社会貢献をしているというものではありません。

社会貢献は、定型的ではなく、金銭面や物的支援のみではなく、会社として以上に、社員一人一人が社会の中で果たすべき役割を行動で示せる環境を作る事です。

博士
会社は社員で成り立っており、社会の役割を果たせる社員を持つ会社が、真に認められるべき会社である

 

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近藤 章功

組織変革・人財育成を考える次世代リーダーを目指す方向けのサイトです。 経歴は、2019年で企業勤務を退社し、企業・組織のコンサルタントと共に研修会社と契約し研修講師を実施中。専門分野は人財育成・組織強化対策中心に幅広く対応。 コンサルティング・研修・講演ご希望の方は、以下まで anngel01020909.ivia@gmail.com

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