会議に意味があるのか?。長い時間拘束されて困っている。などと思う事はありませんか?
その様に思う方は参加している(させられている)会議に多くの問題を抱えている可能性があります。組織で仕事をする場合には個人個人が持っている成功や失敗体験の共有や、戦略の方向性の議論など、新しい時代に必要なチームマネジメントにとって会議は欠かせないアイテムです。
本章は、参加者自身が運営を行うチームマネジメントでの自律的な運営を行うために必要な会議の運営の仕方について記載していきます。
良い会議とは、どんな会議か?
まず最初に良い会議とはどんな会議なのか定義してみましょう。
①創造的な会議である事。
事前に決まったことを伝達されるだけの会議をよく見ますが、ほとんどの場合は集まる必要が発見できずに、会議を実施した事に開催者が意味を持っている場合が太宗です。会議では、参加者が課題を見つけ、解決策を創造し、共有しながら意思決定をしていく事が、チームマネジメントの本来の姿です。
②参加者が活発に参加している事
上記に記載したような伝達型会議の時に良く見られるシーンで、参加者のほとんどが、会議が終わるまで一言も発言をしないという事があります。このような会議では自律的な行動を促すことは絶対に不可能です。すべてのメンバーが積極的に発言して、理解・納得を深めていく事が大切です。
③効率的な会議運営である事
長い会議、聞くだけの会議、頻繁にある会議、何も決まらない会議・・と存在自体を否定するような事が起きやすいのも会議です。出来るだけ短い時間で、みんなが参加して、決めたいことを決める。効率的な会議も重要なポイントです。
さて、上記の3点を実現するためにはどうすれば良いのかを考えていきます。
会議の事前準備で、会議の成否が決する
会議を実施する事が目的で、実施するための議題(Agenda)を直前に考えているようなら、その時点で会議は失敗です。社員個々が自律的に行動してもらうエンパワーメント化(自律的組織運営)を進展させるためには、会議運営の進化は必須ですから、会議のための事前準備も重要という事です。
①会議を開催する意味はあるか?
会議を開催する事が目的でない限り、会議を開催する目的はあるはずです。ただし、その目的には具体的な必要性がイメージ出来なければなりません。例えば、「会議を開催する事で、意思統一をする!」とか「会議で全員に伝達をする」などと抽象的なことでは、目的とはなりません。
前記を具体的にしたとすれば「会議で次期販売目標の達成手段を議論し、3つ決定して、タイムスケジュール化する事で、行動の仕方を意思統一する」とか、「会議で、年度末会計処理の難しいポイントを説明し、メンバーの不安点・疑問点をさらけ出し、効率的かつ的確な業務運営が出来る状況にする」というレベルの目的化まで設定できている必要があります。
②事前の打ち合わせ
”事前の打ち合わせ”と記載すると、日本式の「根回し」をイメージすると思いますが、ここで言う事前打ち合わせはその意味とは違います。
理由は、一つ目に、主要な参加者の会議参加や会議での事前情報提供依頼など、会議のための動機付けを行うもので、結論の強制や誘導をする物ではありません。
二つ目に会議の中で紛糾しそうな課題においては、事前にメンバーの意見を聞いておいて、結論を出す方法を的確に検討しておく必要があります。
3つ目に、会議の議題(Agenda)を事前に参加者全員に配布して、会議の準備と会議内での活性化の動機付けを行います。
③議題(Agenda)の作成と事前共有
前節に記載した通り、会議の議題は参加者に事前に配布(配信)しておく必要があります。その際に、会議の内容については出来るだけ具体的に記載しておく必要があります。一番悪いパターンは議題自体の事前告知が無い状態ですが、次に悪いのが、議題に「〇〇〇について」という名称を使って、何についてやるのかは判るが、何を決めるのかは全く分からないパターンです。
必要な議題項目とは以下の通りです。
ポイント
【会議目的】何についての議論や共有をするのか記載する。 (EX)10月の販促目標達成について
【会議でのGoal】何をどこまで決めて終わるのかを記載する。(EX)全員で取り組む企画を3つ決定し、アクションプランにする。
【議題】一つ一つの議題について、具体的に何をするのかを記載し、議題ごとの決定事項と開始時間・終了時間を記載する。また議論方法も事前に記載しておくことが、円滑な進行には有効。(NG)〇〇〇〇〇〇について
【会議のルール】配布する議題の下段に、会議のルールを記載しておくことも有効です。(EX)「参加者がすべき事」発言は積極的に行う、発言は簡潔に行う、他人の意見に耳を傾ける、時間厳守等です。 「参加者がしてはいけない事」他人の発言に対しての攻撃的発言、無駄話、予定外の議題挿入、無視等です。
以上の会議目的~会議のルールに関しては、会議の司会役が会議の冒頭に全参加者に確認を行ってから、会議を勧めましょう。
会議中のファシリテーション方法
会議を円滑にかつ意味あるものにするためには、会議ごとのファシリテーターの力量に負うところが大きくなります。チームマネジメントを機能させるための大切な会議であるからこそ、全メンバーがファシリテーターが出来るスキルを取得すべきです。
ファシリテーションスキルに関する研修は、様々なところで実施しています。
可能であれば研修の中で取得する事をお勧めしますので、本章の中では、ポイントのみを記載しておきます。
ファシリテーターの持つべきスキルポイントは①傾聴、②深堀、③優先順位化の3つです。
①傾聴
ファシリテーターは、可能な限り結論付ける発言を回避しながら理解度を高める必要があります。そのためには出た意見等に対して、安易に評価や判断をせずに、まずは相手を理解する事に努める必要があります。その為には、同意の姿勢を示すために、アイコンタクトやうなずき等をして、相手の発言から真意を出やすくする態度を取る事が大切です。
②深堀
これは、新入社員の採用面談の際に使用する「水平質問・垂直質問」のスキルと同様です。参加者から出た意見には、その本人でなければ状況が想像できない事や、現れた現象のみを訴えるがゆえに、その現象が発生している背景や本質的な理由が顕在化されていない事があります。それゆえにファシリテーターは、出た意見に対して「何故それが起きたと思いますか?」「問題点は何でしょうか?」などの垂直質問で、深堀をしたり、「他では同じことが起きていませんか?」「他で起きるとしたらどんな時だと思いますか?」などの水平質問を行って、単に起きている現象の解決策に陥らないように、本質的な問題点までたどり着く努力を行ってください。この本質的な問題点にたどり着くことが出来れば、表層的に表れている問題化されている現象を一気にカバー出来る可能性があります。
③優先順位化
参加者全員が積極的に関与した会議が運営できれば、個々の特性の多様化が活かされてくる事から、結論が自然と統一化される可能性は低まると考えられます。その時ファシリテーターは、本質的な課題に対しての優先順位を参加者に問いかけて、決定しておく必要があります。この時の注意点は、起きている現象を解決するための優先順位にならずに、現象が起きる本質的理由に対しての優先順位を決めるという点です。その優先順位が明確になっていれば、後のアクションプラン作成も効率的に進行出来るはずです。
以上ですが、どの職場でも会議は実施される事と思いますが、会議られた時間に意味あるものとするためには、会議自体の改革を本気で取り組んでみたらいかがでしょう。
たぶん、びっくりするほど職場が変わると思いますよ。