~職場のエンパワーメントやってみた第7章~
人財にしっかりとした投資をする事の意味
社員一人一人が所属するチームにて自律的に行動するためには、リーダーのみならず全社員が一定程度の教育を受ける必要があります。
私がエンパワーメント化を導入した際に、特にこの部分については、外部のコンサルタント会社の支援を徹底的に受ける事としました。
当然ですが、外部コンサルタント会社に発注すれば費用は掛かります。
以前ですが、私がコンサルタントの仕事を開始した当初の頃に、某企業において将来へ持続的強化を目的とした人財育成の提案をした際に「本気で組織改革をしたいとトップは言っているが、費用はほとんどない」と言われたことがあります。
社員教育には投資が出来ないという表明を貰ったと同様で、驚愕したことがあります。
研修そのものをリーズナブルに実行しようと思えば、業者による研修を1回だけ実施してその他は社内で実施するとか、アイデア料だけ支払いして、実行は社内の人間で実施するというやり方をすれば、リーズナブルに対応は可能であると思います。
ただし、私はそれを行いませんでした。
それはなぜか?
注意ポイント
①社員に対して大きな投資をする・・という行為そのものに発信力があるため
②社内の人間が研修を実施すれば、甘えや叱責等の感情的言動が出たり、結論の誘導をしてしまう可能性が高い。
③上司等が進行役であると、参加者が自由な発言(特にネガティブ発言)が出来ずに、充分な研修効果とならない。
以上の理由により、全てを外部コンサルタント会社による研修を独自で実施に踏み切りました。
なお、私が依頼したコンサルティング会社は、様々なメニューを保持していて、かつリーズナブルな価格設定になっている事、そして担当講師の方が目指すべき方向性を理解し、研修内容を研修生の現状に合わせてブラシュアップし、丁寧な説明と親身なアフターフォローまで実施していただける会社でした。
実はこれは非常に大きな財産となっています。
ポイント
組織変革等の戦略を構築する際に、多企業・多業態に精通している外部の意見を聞くことは、現代では必須です。どんなに優秀な人財を抱えている企業であっても、業界や企業内に染まってしまっている以上、本質的な課題は見えません。さらに実際に関わる外部の人財が与える影響は絶大です。したがって会社が人財に投資する際に、関りをもつ外部企業と担当する人財の良し悪しがそのゴールに与える影響は想像以上に大きいと言えます。
※具体的な外部研修会社については「お問い合わせフォーム」よりご質問ください。
リーダーと部下たちが本気で議論する研修をやってみた
この研修は、リーダーを筆頭としたチームビルディングを実施する研修です。
イメージ的には、リーダーが考えていた事、部下のメンバーが考えている事を全てさらけ出して、一つの方向性を見つけていく内容です。
ポイント
リーダーとメンバー双方が仕事に関して、更に言えばチームの進むべき道に関して真摯に議論しあう事は、チームマネジメントを行っていくうえで大変重要なプロセスです。
この研修による気づきを数点記載してみます。
リーダー側は非常にシンプルです。
これは何か所かの組織で実施しても同様の結果でした。日常のミーティングや夜の飲酒の時に上司が話している事は、ほとんど記憶に残すことは出来ないという事です。
これは、部下の傾聴力に問題が在る訳ではありません。
部下というものは、そうゆう人間なのです。だからこそ、リーダーには説明力が必要で、伝わらないのは、相手がどのような資質の部下でもリーダー自身の責任です。
さて研修の気づきに戻りますが、部下のメンバー達は、
自分事として、研修を捉えている人が50%もいない状況である
自分と異なる意見を受け入れて、徹底的に議論をするという風土が出来ていない
特に自分が少数派の意見を持っている立場になった時に発言が出来ないメンバーが多く存在していました。
このような事を記載すると、研修自体が失敗であったように見えますが、私の評価では十分成功であったと感じました。
そもそも、今まで取り組んできたことのないチームマネジメントですから、1回で理解できるはずなどありません。一方、課題が明確になってきたという大きな収穫物があった事は、今後の育成プランのヒントを多くもらったと思います。
さて管理下全ての組織で、全社員に対する第一回目の研修をこの研修で開始した訳ですが、この研修後の育成プランは、全ての組織を統一した物を導入するものではありません。
なぜなら、
注意ポイント
大きな意識変革を伴う組織改革は、組織単位で、所属するメンバーの持つ特性に違いがありますし、リーダーのスキルの違いや、メンバーの理解度の違いがあるために、同一レベルには絶対になりません。
これを理解していれば、他組織に比べて成長度が遅くてもリーダー自身が焦る事は無いのです。
逆にここで焦った行動をした瞬間に、自主性や自律性を侵食する行動を取ってしまう可能性があり、せっかくスタートした組織改革をゼロから再構築しなければならなくなりますので、絶対焦らない事です。
※研修の具体的なご質問は「お問い合わせフォーム」まで
リーダー同志の知見共有
前章で記載しましたが、チームマネジメントの学習は、組織間での成長度に開きが出ます。
その開きが発生する事を前提に開始していますので、うまくいかない組織があっても問題ありません。
ポイント
重要なのは、各組織を担当しているリーダー同志が、現状を共有しあい、改善の意見交換をすることです。
各リーダー達には、普段は実施できない他組織での研修風景見学や会議参加を相互に実施する事をルール化して、常に複眼で意見交換を実施していただきました。
これはチームマネジメントスキル向上のみならず、様々な点で非常に効果があります。
例えば営業系の拠点同士などでは、以前なら社内の組織間競争をしていた事から、リーダー同志が円滑なコミュニケーションを図ったり、ノウハウの共有をする事が少なかったかもしてませんが、エンパワーメント化を導入するようなVUCAの環境下では、真の競争相手は、競合企業や商品であり、お客様ニーズをいかにタイムリーに把握できるかが勝利への道です。
その意識を互いが持って、リーダー同志の共有シーンに時間を掛ける事は大変有効な戦略であると言えます。