0.この章を読んで頂きたい方々
◆評価制度って何のためにあるのか理解していない。
◆評価制度を人財育成に活かせていないと思う。
◆評価結果によってリーダーは何をすれば良いのか判らない。
◆評価の具体的な行動が判らない。
1.部下評価は何のためにするのか?
私の部下として担当した新人リーダー達の内、最初の評価業務をその目的通りに出来た人は、10%もいないと思います。
ほとんどの人が、とにかく評価結果を作るための仕事として評価業務を行います。
そこで、評価の目的をしっかり理解して頂く事から開始します。
評価の目的は一言で言ってしまえば、人財育成のためのツールです。
付け加えるとするなら、会社として賃金の下方硬直性を少なくするためツールでもあり、人事・昇降格の参考資料でもありますが、リーダーとしての貴方と部下の間だけで見れば、評価の目的は以下のようになります。
ポイント
【部下にとって】
①評価期間内の自分を振り返って、翌期への成長計画を作る物
②上司や会社の考え方を確認して、自分に求められている方向性を確認する事
【リーダーにとって】
①部下が成長するための環境の整え方を考え直す物
②自分自身の人財育成スキルを再確認し、上司へ報告する資料
ここでリーダーにとって評価目的とした①と②についてのポイントを記載します。
①部下が成長するための環境の整え方を考え直す物
人財育成そのものを貴方がしようとすると、必ず部下個人個人の性格や特性という壁にぶつかります。
あなたが人財育成のためにする事は、部下が成長するための環境をどのように整えるかです。
その結果部下が成長したら、整え方が正解だったという事で、成長しなかったら整え方の見直しが必要であるという事です。
注意ポイント
部下をどう成長させるのか?ではなく、環境のサポートで、勝手に部下は育つのです。
②自分自身の人財育成スキルを再確認し、上司へ報告する資料
評価結果は、書面的には部下の行動結果ですが、内面的にはリーダー自身の人財育成スキルの結果です。
評価を深く考えないで実施するリーダーは、日常の業務も同様の行動をしていると上司に判断されて当然です。
2.具体的に評価タスクを整理してみましょう。
ここまでの記載を整理して、リーダーが実施する評価タスクを記載します。
①最初に部下個人個人の人財育成計画をリーダー自身が作成。
重要なポイントとして押さえて頂きたいのは、人財育成は事前にリーダーが作成した、個人毎の人財育成計画に基づいて行われる必要がある事です。
一般的に「業務を通して、人財育成を行う」と言いますが、これは画一的な金太郎あめ的社員を作って業績を伸ばしてきた時代の話です。
これからは、「人財育成計画に基づいて、業務サポート(環境つくり)を行う」マネジメントが必要です。
理由は、人財育成計画に基づいてTask毎に役割を部下に付与するから、個人個人が成長し、その結果、業務に対しても業績が向上するのであって、業務の中で人財育成をしようとすると、その業務を解決することが優先されてしまうからです。
②人財育成計画に基づいて、期首に課題設定や到達レベルを部下と面談して共有。
数値項目(KGI)とプロセス(KPI)の両方に対して、評価項目を部下個人個人と、必ず期首に握って下さい。
その際に
ポイント
KGIに関してもKPIに関しても、コミットラインとチャレンジラインの2ラインですり合わせをしましょう。
これは、プロセス管理上の見直しポイントにも評価結果の作成の際にも、様々シーンで育成環境を考慮する上で役に立ちます。
特に、数値的に表れにくい事務部門の業務に関しては、2ラインの到達目標設定は、評価の中央化を避けるために重要です。
③プロセス関与に重点を置いて日常観察とサポートを実施する。
期中プロセスでの部下との関与については、日常観察が大変重要です。
リーダーがプレイングマネージャーの場合に、時間に余裕が無いという理由で、期末だけの結果で評価をする方がいますが、それでは評価制度そのものが機能しないのも同然ですし、部下にとってはプロセスを共有し合えない上司に評価される事ほど不幸なことはありません。
時間をどう作るかもリーダーの能力です。
しっかり部下のプロセスには関与して、必要な時に目標ラインを修正しながらサポートしていきましょう。
④期末に成果確認、課題点の抽出、育成計画に対する結果、翌期に向けての方向性を面談で共有する。
期末の振り返り面談の中心は、翌期に向けての方向性を、部下本人の考え方と、上司である貴方の考え方をすり合わせていく事です。
成果確認などの過去評価については、③でのプロセス関与が出来ていれば、ほとんど必要ないはずです。
もし、期末面談の時点で結果系の原因を部下とコミュニケーションしている覚えがある場合は、期中サポートが機能していないはずです。
なお、新人マネジメントの貴方・・・部下にとって、評価はマインド形成やモチベーションに大きく影響し、上司に対する信頼性も左右させるものです。
その時上司である貴方が新人だろうがベテランだろうかは、部下にとって全く関係ありません。
最初の評価は何も分からない中、右往左往すると思いますが、部下に絶対言ってはいけない禁足ワードは、
注意ポイント
「悪いなぁ、初めての評価なので色々大目に見てくれな!」・・ですよ。
次の章から、評価をするための結果数値の味方等を具体的に記載していきます。