0.この章を読んで頂きたい方々
◆自分が出来たことを、なぜ部下たちは出来ないのか?とよく考えてしまう。
◆自分はリーダーになる前に、優秀だったとの自負がある。
◆自分が仕えた理想の上司のマネをしたいと考えている。
◆仕事の仕方は、基本的に今も昔も同じだと考えている。
このように考えてしまうことの多い方は、ぜひ以下の内容をご覧ください。
1.使用不能に近づく成功体験
初めてリーダーになる方は、今まで自分が接してきた多くの上司の良い点や悪い点を念頭に置いて、自分の部下になる方に接しようとするでしょう。
実はここに落とし穴がある場合が多いのです。
結論をお伝えする前に、初めてマネジメントになった貴方に一つ質問があります。
もし、この質問に「YES」と答える場合は要注意です。
逆に「そうでもないと思う」と感じる方は、自分の思うがままにマネジメントしてみてください。
さて、「仕事の取り巻く環境の変化が速い」と感じる方の要注意は、
ポイント
「今までの成功体験は、近日中に使用不能になります」
一般に、マネジメントに初めてなる方は、今までの業績が大変優秀であったからこそ、マネジメントに抜擢されている場合が多いと思います。
つまり俗にいう「仕事の成功体験者」です。
この成功体験は、同一条件での場合です。つまり、”売る者”や”提供するサービス”、”お客様のニーズ”や”競合相手の施策”などが違えば、成功のさせ方が違ってきます。
さらにここが一番肝心ですが、
注意ポイント
「仕事をするのは優秀であった貴方」ではないのです。
自分自身も過去に上司から、「何でそんなことも出来ないんだ・・」と言われた経験もあるはずなのに、自分も部下にそれを言ってしまう事はよく起きる事です。
過去の成功体験は、近日中に使用不能になる事を決して忘れてはいけません。
2.デスリーダーになってはいけない!
「デスリーダーって何だ?」と思う方もいると思いますが、簡単に言えば”部下にとって邪魔者の上司”です。
リーダーに初めてなった方々は、今までの上司の立ち振る舞いを「他山の石」にして、また過去の成功体験を駆使して部下に接する訳なので、そんな上司になるはずがないと思うかもしれません。
しかし、部下の邪魔者になんかなるはずが無いと思っている貴方は、デスリーダーの有力候補です。
最近の時代の流れは非常に早く、この数年間だけで見ても、消費者・購買者や使用者・利用者のニーズは次々と変化しています。
したがって消費者に対峙する最前線に近い人(つまり部下)ほど、最新の環境にさらされて仕事をしています。
注意ポイント
自分が最新の環境に居ない事を認識せずに、リーダーが過去の知見や成功体験を基に意見や助言をすれば、最新の環境にさらされている部下の悩みは解決しない事が多いのです。
ここで、「部下の方から、悩みの本当の原因を言わない事も悪い」と考える方もいるかもしれませんが、最新の360°調査を実施しても「部下が上司に何でも悩みを言える人」は20~30%あればいい所です。
さらに「私は部下と綿密にコミュニケーションを取っている」というかもしれません。
が・・・皆さんの上司たちもみんな口を揃えて、同じことを思ってきたのです。
私自身は担当したリーダーの部下に、こんなことをよく言っていました。
ポイント
「皆さんは、過去の成功体験者です。つまり今の成功体験は持っていない。この事を決して忘れないでください。万一忘れて部下に対応すると職場のデスリーダーは貴方になります」
仮に今はこの内容に共感できなくても、近いうちにそのようになる危険性は強いのです。特に”大丈夫!”と思っている方ほど・・・
自分自身に言い聞かせる事が出来れば、それだけで解決する心の持ちようの代表バッターです。
3.部下に「仕事をさせる」のではなく「部下を動かす」
部下に仕事をさせる事と、部下を動かす事は、何が違うのか?と思う方もいるでしょう・・
実は大きく違います。
1.の成功体験者の注意でお伝えしたリーダーは、部下が何らかの壁にぶつかった際に、自分の成功体験を元に、「こうしたらいいんじゃないか?」と手法をサポートをすることが多くなります。
このサポートによって「問題も解決する」かもしれないし、「悩みも解消」するかもしれませんので、一見、良いマネジメントにように感じます。
しかし、この手法事例伝達型サポートは、実は「仕事をさせている」のであって「部下を動かしている」のではない可能性があります。
ポイント
つまり仕事を”させる”と”動かす”の違いは、部下本人が共感しているか否かの意思の有無です。
リーダーに課せられるミッションは、一般に「成果の創出」と「人財育成」です。
成果の創出だけであれば、手法伝達型のサポートは有効手段といえるでしょう。
しかし人財育成の観点では、部下自身が壁を乗り越える手段を見つける必要があり、リーダーは、そのプロセスを導き、見てあげる必要があるのです。
ここでは具体的な部下に接する手法についてまでは記載しませんが、単にサポートと言ってもさまざまなケースがあることを理解してください。
そしてその違いを使い分けていく事がリーダーが実施するマネジメントの醍醐味なのです。